
フリーランスとアルバイトって、どちらもわりと自由そうだけど、何が違うんだろう? 掛け持ちはできるのかな?
そんな疑問にお答えします。



筆者の私はフリーランスのライター/エディター歴9年。以前はアルバイトを掛け持ちしていた経験もあります。
世の中には、正社員以外にもさまざまな雇用形態・働き方があります。
そのなかでもフリーランスとアルバイトは、どちらも比較的自由度が大きい働き方ではありますが、両者にはいくつもの違いがあります。
私自身、もともとは大学卒業後に正社員として一般企業へ就職。
その後、フリーランスとアルバイトを掛け持ちした時期を経て、現在はフリーランス一本で仕事をしています。
フリーランスとして独立したばかりだと収入が少なく、アルバイトの掛け持ちが必要になるかもしれません。
そこで今回は、フリーランスとアルバイトの違い、またフリーランスとアルバイトを掛け持ちすることのメリットや注意点などをわかりやすく解説します。
- フリーランスとアルバイトのどちらで働くか迷っている
- フリーランスとアルバイトを掛け持ちするメリットを知りたい!
- フリーランスとアルバイトを掛け持ちするときに注意すべきことは?
こういった思いをお持ちの方は、ぜひこの記事を参考にしていただければと思います。
フリーランスとアルバイトの違い



まずは、フリーランスとアルバイトの違いについて、5つのポイント別に解説していきますね。
①:契約形態の違い
「アルバイト」というと、みなさんはどんな姿をイメージしますか?
おそらく多くの人は、コンビニやファーストフードで学校の放課後や休日に働く学生さんや、夢を追いながら生活費を稼ぐフリーターのような姿を想像するのではないかと思います。
こういったアルバイトの場合、一般的には長期雇用が前提ではない非正規雇用ではあるものの、勤務先の会社と「雇用契約」を結んで、その会社の従業員(スタッフ)として働きます。
ですので、フルタイムで働いている正社員の人と同じような立場になります。(もちろん、待遇などは大きく違いますけどね)
一方、フリーランスは雇用契約を結ばずに、完全に一匹狼スタイルで働くことになります。
フリーランスが結ぶ契約の種類としては、「業務委託契約」というものが一般的。
この契約は雇用関係とは違って、あくまでも取引をするクライアント企業から案件の依頼を請け負う際に、その取引内容について定めたものです。
②:働く場所・時間の違い
アルバイトの場合、決められた場所(店舗など)へ行って、店長や副店長などの指示を受けつつ仕事をします。
勤務時間については事前に作られたシフト表に沿って、短ければ1日2~3時間、もう少し長いと4~8時間程度働くのが一般的。
同じ時間帯に、他のアルバイトスタッフや社員さんと一緒に働く職場も多いです。
他のアルバイトが急に辞めたり休みになったりすると「時間を延ばしてほしい」「追加でシフトに入ってほしい」などと言われることもありますね。
一方フリーランスの場合、在宅(自分の家)で働くスタイルをとるケースが多いです。
気分によってカフェで仕事をしてみたり、日本全国各地を旅しながら働く、なんていう人もいます。
フリーランスは時間についての自由度も高く、自分でタイムスケジュールを組んで行動するのが基本です。
1日2~3時間だけ働こうと、12時間働こうと自分次第。抱えている仕事量によって、自分で考えながら仕事の時間を決めていきます。
③:収入の種類の違い
アルバイトの収入は、雇用契約を結んでいる会社(お店)から「給料」という形で支払われます。
一般的には「時給制」である場合が多く「1時間あたり〇〇円」といった時間給です。その他、日雇いの仕事など「日給」で働くケースもあります。
時間給や日給の場合、働く時間や日数によって収入が変動しやすい特徴があります。
一方、フリーランスの収入は、取引をするクライアントから支払われる「報酬(ギャランティ―)」です。
案件ごとにクライアントと相談して報酬額を設定し、案件を完了したら報酬が支払われます。
報酬額は案件の難易度や量、スキルなどによって数千円~数万円、あるいはそれ以上と大きな差が出ます。
また、フリーランスでは同じ報酬の案件を請け負った場合でも、仕事にどれだけ時間を掛けるかで時間あたりの報酬額が変わります。(例:同じ1万円の案件に5時間かける人と1時間で終わらせる人では、時給に5倍の違いが出ます)
④:待遇の違い
アルバイトの待遇は、雇用先によってまちまちです。
よくあるのは「交通費支給」「まかないなど食事補助」「社員割引」といったものです。
売上や業績がいいと、アルバイトにもボーナスが出る場合も。
しかしフリーランスの場合は個人で仕事をしていくため、会社が用意してくれるような待遇はありません。
⑤:責任の大きさと自由度の違い
アルバイトは所属先の会社(お店)と「雇用契約」を結ぶため、雇用主が従業員に対して責任を持ちます。
雇用主はアルバイトなどの従業員がけがをしないよう、安全にも配慮する義務があります。
一方、フリーランスとクライアントが結ぶ「業務委託契約」では、クライアントは一切の責任を負いません。
フリーランスは自由度が高い代わりに、すべてにおいて自己責任の意識が求められてきます。
フリーランスとアルバイトを掛け持ちするメリット3つ



次は、フリーランスとアルバイトを掛け持ちするメリットを紹介します。
メリット①:すぐに手元に入るお金を増やせる
フリーランスとして働く場合、ある案件に着手してから、報酬が振り込まれるまでに間が空くことがあります。
たとえば、3社から依頼を請けた案件をそれぞれ3月に納品したとします。
各社と結んだ契約内容に書かれている入金予定日は次の通りです。
- A社:翌月15日(4月15日)
- B社:翌月25日(4月25日)
- C社:翌々月30日(5月30日)
この場合、A社とB社の報酬は翌月中に振り込まれますが、C社からの報酬の振り込みは2ヵ月ほど待たなくてはなりません。
つまり、仕事を請けたからといってすぐにお金が手元に入ってくるわけではないということです。
月によって手元に入るお金がどうしても上下しやすいのは、フリーランスの弱点といえます。
とくに、駆け出しのころで案件の単価が低かったり請け負える案件量に限りがあったりすると「今月の家賃どうしよう…」みたいな不安を抱えかねません。
そんなとき、アルバイトをすればわりと早いタイミングでお金が手元に入ってきます。勤務先によっては翌月支払いですが、なかには即日、あるいは翌週などに給料をもらえるケースも。
フリーランスになったばかりで当面の生活費がまかなえない場合には、アルバイトをして収入アップを目指すことを考えてもいいと思います。
メリット②:気分転換や視野を広げるのに役立つ
働き方にもよると思うのですが、私の場合、フリーランスになって人と話す機会は減りました。
打ち合わせや取材などでたまにクライアントと話すことはあっても、限られた人と、ちょっとの時間でしかありません。
基本は一人で部屋にこもって仕事をするので、もともと個人行動が苦ではなくインドア派の私でも、独身時代は「そういえば何日も声出してないかも」みたいなこともあり、さすがに誰かと話したいなと思うことがありました。
一人で煮詰まってくるとメンタル的にもよくないですしね。
そんなとき、アルバイトをしていると嫌でも人と話す機会が増え、リフレッシュになります。
また、フリーランスになると仕事場所や働く時間の制約がない分、つい際限なく仕事にのめりこんでしまいがち。
そんなときアルバイトが入っていれば「時間だから行かなきゃ」みたいに切り替えられて、メリハリがつけやすいです。
メリット③:相乗効果でさらなるスキルアップが目指せる
フリーランスとアルバイトを掛け持ちすることを決めたら、どこか少しでも本業に役立つポイントがある仕事を選ぶといいと思います。
私の実体験をお話しすると、フリーランスのライターになって間もないころ、収入アップを目的にデジタルマーケティングやメディア事業を手掛ける企業でアルバイトをしていました。
業務内容は基本的にメディア記事のライティング。自分が書いていきたい記事のジャンルは異なりましたが、そこでもライターとしての経験を積めたのはプラスでした。
また、メディア企画や運営の全体像にも触れることができ、その後のキャリア形成に役立ったと感じています。
アルバイトであれば「未経験OK・スキル不要」というものも見つかります。
もちろん、コンビニや居酒屋のようなアルバイトをするのが絶対にダメとはいいません。
でも、いち早くフリーランス一本で立てるようになるには、限られた時間でどれだけ学べるかが勝負です。
どんなスキルが得られるかもよく考えたうえで、アルバイト選びをするのがおすすめです。
フリーランスとアルバイトを掛け持ちするときの注意点3つ



次は、フリーランスとアルバイトを掛け持ちするときの注意点を解説します。
その①:何のために掛け持ちするのか、目的をハッキリさせておく
フリーランスの仕事とアルバイトを両方するときに陥りがちなのが、目的意識を持たないまま、ダラダラとバイトを続けてしまうことです。
おそらく、フリーランスと掛け持ちでアルバイトをすることを考えている人のほとんどが、本当はアルバイトはしたくないし、できればフリーランスの収入だけで食べていけるようになりたいと思っているはずです。
でも、アルバイトはシフト通りに出勤して働けば確実に決まったお金が入ってきますので、どうしても楽な部分があるのも事実。
そこに逃げてしまわないように自分を律することが大事です。
フリーランスの仕事だけで、安定的に生活できるお金が手に入るようになるには時間がかかる場合もあります。
ですが、アルバイトは「一時的なしのぎ」という気持ちを忘れずに、本業のスキルアップに力を注いでいきましょう。
その②:時間と体調のコントロールは最重要
複数の仕事を始めると、時間と体調の管理がますます重要になってきます。
日ごろ自宅中心でマイペースに仕事をしていると、決まった時間に、決まった場所に出勤してアルバイトをするだけでも結構疲れてしまうことがあると思います。
私自身、フリーランスとアルバイトを掛け持ちしていたときには、「よし! 今日は5時間バイトやって、帰ってからフリーランスの仕事をして…」と計画していたのが、帰宅後はグッタリでそのまま朝までおやすみなさい、なんていうこともありました。
いざやってみると意外と思うように時間が使えないこともありますので、スケジュールにはある程度の余裕をもっておくほうがいいと思います。
アルバイトをやり過ぎて、体調を崩してしまったりフリーランスの仕事に支障が出たりするのでは意味がありません。
その③:確定申告ではアルバイトの収入も計上するのを忘れずに
フリーランスには欠かせない確定申告。
やや事務的なことになりますが、もしアルバイトを掛け持ちすることになれば、確定申告の仕方が少々変わります。
といったことを書くと面倒くさそうに感じるかもしれませんが、そのやり方は、たいして難しい話ではないです。
もしフリーランスとアルバイトを掛け持ちする場合には、フリーランスの収入を「事業所得」の欄に、アルバイトの収入を「給与所得」の欄に書きます。
アルバイトで得た1年分の給料は、アルバイト先に源泉徴収票を発行してもらえばすぐにわかります。
その際、給与収入の「支払金額」から「給与所得控除」を差し引くのを忘れないでください。
(例:支払金額が1,800,000円以下であれば収入金額×40%(650,000円に満たない場合には650,000円)の給与所得控除額があります ※2019年分確定申告の場合)
給与所得についての最新情報は、確定申告時期に税務署から配られる確定申告書の手引きにも書かれています。
まとめ:フリーランスとアルバイトの掛け持ちは「目的」が重要
今回の話をまとめます。
- フリーランスが結ぶのは「業務委託契約」、アルバイトが結ぶのは「雇用契約」
- フリーランスの収入は「報酬」、アルバイトの収入は時給や日給などの「給料」
- フリーランスは働く場所や時間の自由度が高い反面、トラブルはすべて自己責任
- 掛け持ちをするなら本業(フリーランス)に活かせるアルバイトを選ぶのがおすすめ
- フリーランスとアルバイトの掛け持ちをするときは、両方の収入をあわせて確定申告をする
今回ご紹介した通り、フリーランスとアルバイトはまったく異なる働き方をします。
掛け持ちは体力的な問題やスケジュール管理など大変なことも多々ありますが、目先の収入を増やすことができたり、新しい経験やスキルを得るキッカケにもなったりするなど、良い点もあります。
ただ、将来的にフリーランス一本でしっかり稼げることを目指すのであれば、本業の勉強や仕事にしっかり打ち込める環境や時間をつくるのが大切です。



掛け持ちをする目的を見失わず、自分にムリのない範囲で、しっかり計画を立てていってください。