
都会を離れて自然豊かな地方で暮らしたい。でも、いったい何から準備すればいいんだろう。
失敗しない地方移住の計画の立て方や、準備期間について知りたいな。
こんなお悩みに答えていきます。



2020年、私は東京都から長野県松本市へ夫婦で移住しました! 一度も暮らしたことがない地域への「Iターン」です。
初めての地方移住や田舎暮らしでは、いったい何から考えていけばいいのかよくわからないものです。
私自身、地方移住の準備は試行錯誤しながらで、いろいろな情報に助けられました。
ようやく新生活に慣れ、落ち着いて振り返られる今だからこそ「あのとき、ああいう情報を集めておいてよかったな」「もっとあんな準備をすれば効率よかったかも」など思うことがあります。
そこで今回は、私自身の実経験と集めてきた情報をもとに、これから地方移住を具体的に考えていく人に向けて、地方移住の計画の立て方や必要な準備内容の全体像を紹介します。
この記事をお読みいただければ、実際に地方移住を実現させるまでの流れがわかるようになっていますので、ぜひロードマップ的に使ってもらえたらと思います!
地方移住の計画の立て方と準備内容を7つのステップで紹介


地方移住の計画を立てるときの流れは、以下の7ステップで考えるとわかりやすいです。
- 地方移住の目的を考える
- 家族と話し合い、ビジョン(理想像)を共有する
- 情報を収集し、移住先を決める
- 仕事(働き方)を考える
- 家探しをする
- 生活費をイメージしておく
- 引っ越しをする



それぞれについて、わかりやすくお伝えしていきますね!
ステップ①:地方移住の目的を考える
地方移住で最も大切なのが、何のために移住をするのか、つまりは「目的」です。
地方移住の目的は人それぞれ違うもので、正解はありません。
たとえば、
- 家族との時間を増やしたい
- 自然豊かな環境で子育てがしたい
- 仕事がリモートワークになって都会にいる必要がなくなった
- 地方でチャレンジしたいことがある(農業・起業など)
- 地元に近い土地へ移りたい
などは、よく聞くものですね。



どうして目的が大切なの? ただ「田舎暮らししてみたい」じゃダメ?



目的を考えることが大切なのは、その後の具体的な計画(どこへ住むか、どんな暮らしをするかなど)を考えていくにあたっての指針や判断基準になるからです。
「田舎暮らしをしてみたい」も立派な動機ではありますが、ぜひ「なぜしたいと思うのか?」までぜひ具体的に考えてみてください。
たとえば「山が大好きで山のそばで暮らしたいから」「農業に挑戦してみたいから」など、何かしら具体的な想いが出てくるとベストです。
移住の準備にはある程度の時間がかかります。移住についてたくさんの情報を集めていくうちに、途中でどうすべきか迷ってしまうことも。
そんなときに「そもそも何のために移住したいんだっけ?」と立ち返ることはとても重要になってきます。
ステップ②:家族と話し合い、ビジョン(理想像)を共有する
地方移住を考えている方は、すでに配偶者や子どもなどの家族がいるケースも多いはず。
もし家族で地方移住をするのであれば、必ず一緒に暮らす家族全員の意向と希望を確認しながら、具体的な話を進めてください。
家族の地方移住でよく失敗するケースのひとつが、「家族の誰かが納得していなかった」「田舎暮らしに不満を抱えていた」ということ。
移住後の生活では家族との距離感が近くなります。家族全員で「こんな田舎暮らしがしたい!」というビジョンを共有し、連帯感を高めておくことは、移住後の満足感や生活の楽しさにも影響します。
詳しくは以下の記事で解説しています。


一方、独身の方であれば、ぜひとも自分の思うままに行動すればいいと思います。地方移住で新たな生き方を模索するのは、視野が広がって良い人生経験になると思います。
これは私個人の考えですが、20代で独身のうちであれば、無謀と思えることであってもガンガン挑戦するほうが絶対にいいです。失敗しても怖くない年齢です。
ステップ③:情報を収集し、移住先を具体的に考えていく
移住の目的を考え、一緒に移住する人がいる場合は全員のビジョン共有ができたら、移住先を探していきましょう。
そのためには、より多くの情報収集が不可欠です。
まだイメージが漠然としている段階での地方移住情報の集め方でおすすめなのが、本・雑誌を活用すること。最近では地方移住・田舎暮らし系の本や雑誌がたくさん出ています。
私が大量に読み漁ったなかで、役に立つと感じたものを以下の記事でまとめています。


もちろん個人の実体験が読めるブログもいいですが、本・雑誌は体系的に話がまとめられているので、ぜひ参考にしてください。
また、地方移住先の候補地がいくつか出てきたら、地方移住のさまざまな支援を行っている「NPO法人 ふるさと回帰支援センター(東京・有楽町)」で、各都道府県の専任スタッフに相談してみるとよいでしょう。
もちろんNPOですから完全無料です。詳しくは以下の記事で紹介しています。


個人的な感覚として、本・雑誌などである程度の知識を入手してから相談するほうが、よりリアルな話にまで踏み込みやすいです。
気になる地域が出てきたら、ぜひ現地にも足を運んでみてください。とりあえず旅行でも何でもOK。
ただ、田舎は季節ごとの暮らしやすさや生活環境が大きく変わる地域が多いので、季節を変えて何度も訪れてみるとベターです。
ステップ④:仕事(働き方)を考える
地方移住をするうえで最も心配なことは、やはり仕事ですよね。
「働き口があるのかな…」「収入が大きく下がるのではないだろうか…」など、心配事は尽きないと思います。
地方移住後の仕事(働き方)の種類は、いろいろと考えられます。
- 地元企業へ就職
- 地域おこし協力隊へ参加
- 一次産業(農業・林業・畜産業など)に従事
- フリーランスとして働く
- 起業(民宿やカフェの経営なども含む)する
など。
農業や地域おこし協力隊は、地方移住を考えている人には人気がある働き方です。
ただ、すぐに安定収入が得られない場合もありますし、地域によっても需要や求人状況が異なります。
希望の移住地が固まってきたら、同時に、その地域でどういった産業の市場が大きいのかを調べてみるといいです。それが求人量や求人ニーズにも関わってくるからです。
ステップ③で挙げた「ふるさと回帰支援センター」でも仕事の相談ができますし、近年は、どの自治体でもたいてい移住相談窓口を設けているので、そこに相談するのもおすすめです。
地方移住後の仕事・働き方の種類については、以下の別記事で詳しく解説しています。


ちなみに、私自身はもともと東京でフリーランスのライターとして働いており、地方移住後も同様の働き方をしています。いわゆる在宅ワーカーで、クライアント企業と契約を結んで仕事をする形です。
個人的に、ITやWebを活用した仕事と田舎暮らしの相性は良いと感じています。
こんなご時世ですから、会社員でもリモートワークをする人が増えているでしょうし、地方移住をきっかけにフリーランスになりたい人もいるかもしれません。
この話については、以下の記事で詳しく解説しています。


ステップ⑤:家探しをする
希望の移住地が決まり、移住後の働き方もイメージできてきたら、いよいよ家探しです。
ここで気をつけたほうがいいのは、「憧れやイメージだけで家を探さないほうがいい」ということ。
みなさんは、地方移住というと、どんな暮らしを想像しますか?



広い一軒家を安く買って、水回りだけリフォームかな。DIYでウッドデッキのある広い庭を作ってみたい。
古民家とか憧れる。空き家をオシャレにリノベーションして、そのうちカフェとかやってみたい!
そんな憧れを持っている人もいるかもしれません。テレビなどで取り上げられる移住者の姿は、わりとキラキラしたものが多いですからムリもないと思います。
ですが、個人的には強くおすすめするのは「賃貸からのスタート」です。
その理由は、テレビなどではあまり語られることのない田舎暮らしの大変さにあります。
都会から田舎へ移り住んだ場合、なかには事前に予想もしてなかったトラブルや苦労に見舞われる可能性があります。
たとえば「ご近所づきあいが想像以上にキツい」「田舎の慣習に馴染めない」「思った以上に娯楽がなさ過ぎてつまらない」など。
実際、ほんの1年くらいで都会へ戻る人もいるそうです。
とくに寒冷地や豪雪地帯になると、真冬の生活は想像以上に大変という移住者の声をよく聞きます。
また空き家を安く買ったら、家の基礎から手直ししなくてはならず結局高額な費用がかかったという例も。
地方移住では実際に住んでみなければわからないことがあまりに多いからこそ、まずは賃貸で暮らしてみる。そして本当に合うと思ったら、その先に理想の物件を購入する、というのも賢い選択ではないかと思います。
家探しに関しては、以下の記事でさらに詳しく紹介しています。


ステップ⑥:生活費をイメージしておく



田舎暮らしって、生活費がかからないんでしょ?
そんな風に言われることがあります。
ですが、田舎暮らしは必ずしも都会より生活費が抑えられるとは限りません。田舎暮らしだからこそ費用を下げやすいものもあれば、逆に費用が上がる可能性が高いものもあります。
費用を下げやすいものの例は、以下の通りです。



もちろん地域や生活パターンによっても変わるのですが…。各項目、私自身の状況や、感じていることもあわせて書いておきますね。
- 住居費(家賃)→東京にいたときの3分の2程度になりました。
- 駐車場代→衝撃的なほど安い!
- 外食費→ほとんど外食しません。とくに夜はあまり出かけないです。
- 交際費、娯楽費→お金がかかる遊びをほとんどしないです。
- 服飾費→オシャレして街へ出かける機会が減ったので高い服を買わないです(笑)
一方、田舎暮らしのほうが高くつく可能性があるのは、以下のものです。
- 自動車関連費用(自動車購入代、ガソリン代、車検代、保険代など)→移住後に新車を購入したため、だいぶお金が飛んでいった。
- ガス料金(プロパンガスの場合)→聞いていた通り、高い。東京の都市ガスの2倍くらい。(真冬が怖い)
- 自治会費→我が家の場合は小学生のお小遣い程度であまり高くないです。
- 灯油代(寒冷地)→あまりに寒かったら必要になるかも?
といった感じでしょうか。車の必要性に関しては、以下の別記事で詳しく紹介しています。


その他、影響がありそうなところで「教育費」「医療費」などは、家庭の事情と地域によって、だいぶ違いが出てくるでしょう。
山間部で自給自足をすれば「家賃2~3万円で家族3人10万円生活」みたいな暮らしは可能かもしれません。
でも、それなりの生活クオリティを維持しようと思うと、圧倒的に生活費が下がるケースはさほど多くないんじゃないかなと思います。
また田舎は都会よりも平均賃金が低めなので、地方移住によって収入が下がる可能性も考えておいたほうがいいでしょう。
個人的には生活費を下げる目的で移住を考えるよりも「豊かな自然環境で生きていく」「のびのびと自分らしく生きる」といった考えを持っておくほうが、幸せを感じられるのではないかなと思っています。
ステップ⑦:引っ越しをする
すべてが決まったら、いよいよ引っ越しです。
地方移住は長距離になる場合が多く、引っ越し費用がかなり高くつきます。家族の引っ越しになると、時期によっては数十万単位になることも。
また長距離引っ越しは1日で終わらない場合が多いので、要注意です。私は3社から見積もりをとり、うち1社だけは朝早くから積んで当日中に終わらせてくれるとのことだったので、そちらに依頼しました。
その他、事前に物件の管理をしている不動産屋とカギの引き渡し日時を調整しておいたり、ガス開栓手続きのための立ち合い時間なども綿密に計画しておく必要があります。
何かと面倒なことが多いです。



引っ越し関連のドタバタは、地方移住の準備で一番大変だったかもしれません…。
後日、引っ越しに関しての記事もまとめて公開しようと思います。
地方移住の準備期間はどれくらい必要?





どれくらいの期間をかけて移住準備をすればいいの?



正解はありませんが、移住先は目と足を使って確かめるべき。ある程度の時間の余裕をもって検討していくことをおすすめします。
自分の経験でいうと、地方移住を本格的にイメージし始めてから、実際に引っ越しをするまでの期間は1年8ヵ月でした。
田舎暮らしへの憧れ自体は20代後半の頃から何となく持っていたのですが、当時は独身で、まだあまり現実味がなく。
数年後、夫と出会って結婚をし、旅行で長野県(松本、軽井沢)を訪れたのがキッカケで「本気で地方移住を考えていこう!」となりました。
移住先については「長野県」と決めたのは早かったですが、松本市に確定したのは移住する8ヵ月ほど前。
それまで、何度かに分けて長野市・上田市・小諸市・佐久市などを見て回りました。(もちろん松本もあらためて何度か訪問)
いろいろなエリアを見て感じたのは、同じ県内でもだいぶ雰囲気が異なるということです。
いろいろな地域を見ることで、理想が固まってくる面もありますから、希望の自治体がある程度イメージできてきたら、できる限り足を運ぶことをおすすめします。



夏と冬など、季節を変えて訪問してみるのもおすすめです!
また、会社員の方であれば「現在の仕事をいつ辞めるか?」というのも移住のタイミングに関わってきます。
しっかりと計画を立てて余裕を持ったスケジュールを組んでいくほうがいいでしょう。
まとめ:地方移住は計画的に。十分な準備で幸せな田舎暮らしを!
今回は、地方移住の計画の立て方と、具体的な準備方法の流れを紹介しました。
慣れない土地での仕事探しや家探しは、苦労することもあると思います。
でも、なんといっても地方移住は自分の幸せのためにするもの。準備期間から楽しんで、理想の新しい生活に向けて動いてもらえたらなと思います。
このブログでは「自分らしい生き方」をコンセプトに、さまざまな地方移住のお役立ち情報を発信しています。
その他、フリーランスのライター/エディターとして働く私が大切にしている価値観や、田舎で暮らす夫婦の日常や仕事の仕方なども積極的に公開していきますので、ぜひ楽しんでいただければ幸いです。



お読みいただきありがとうございました!