
こんにちは、やまももです。
今日は、私が大好きな本を紹介します!
先日、夫がこんな言葉を口にしました。
「じゃあもう、えいやっ、でやっちゃおうよ!」
この瞬間、パッと頭に浮かんだのが、糸井重里さん監修『オトナ語の謎。』という本です。
『オトナ語の謎。』に書かれているのは、オトナの世界で繰り広げられている、ちょっぴり「謎」なコトバたち。
たとえば…
「なるはやで」「ウェルカムです」「ジャストアイデア」「えいやっ」
などなど。
オトナになったあなたなら、きっとこれらの言葉のニュアンスと、使うシーンがイメージできるはず。
でもよく考えると、どれもちょっとおかしなコトバだと思いませんか?
『オトナ語の謎。』では、こういったあいまいなコトバについて、一つひとつ糸井さんらしいユーモアたっぷりの解説付きで紹介されています。
コトバのチョイスと、実際に使われる場面の描写が絶妙過ぎて「あるある!」と腹を抱えて笑えます。
日々、会社生活をがんばっているサラリーマンにも、これから社会に出ていく若い人にも、ぜひおすすめしたい一冊。
今回は、私の好きな本トップ5に入っている、この『オトナ語の謎。』について詳しく紹介します!
監修は、かの有名な糸井重里さん
糸井重里さんはどんな人?
まずは、本著を監修した糸井さんのプロフィールを簡単にまとめます。
- 1948年 群馬県出身
- 1975年 TCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞受賞
- 1979年 「東京糸井重里事務所」(現:「株式会社ほぼ日」)設立
- 1998年 Webメディア『ほぼ日刊イトイ新聞』を開設
糸井さんといえば、コピーライターとしての活動が最も有名でしょう。
いまだによく取り上げられるのが、「不思議、大好き。」(1982)「おいしい生活」(1983) といった西武百貨店のコピー。
ちなみに、矢沢永吉さんの自伝本『成りあがり』を構成・編集したのも、実は糸井さんです。
現在、コピーライターとしては第一線を退いた糸井さんですが、自身のWebメディア『ほぼ日刊イトイ新聞』では、糸井さんの生み出す数々の「コトバ」に触れられます。
『ほぼ日刊イトイ新聞』トップページに掲載される糸井さんのコラム「今日のダーリン」は、1998年6月6日の創刊以来、毎日更新されています。
わずか数百文字でも毎日書き続ける情熱と執念に、ただただ驚かされます。(しかも「アーカイブを残さない」というこだわりが、またすごい…)
私は5歳から糸井重里さんの大ファン
私と糸井さんの出会いは、言わずと知れた名作ゲーム『MOTHER』が最初だったと思います。
1989年に発売された『MOTHER』は、発売当初、父が遊んでいるのをリアルタイムで見ていました。
現代風の世界を舞台に、突如おそってくる熊やらオバサンやら宇宙人やら不思議な敵キャラクターたち。ときにブラックユーモアを含んだセリフ、耳に残るポップなサウンドも、幼い私にとって大衝撃でした。
しかも主人公たちの武器はバットやフライパンですし、回復用に持つアイテムはフライドポテトやハンバーガー。
「日常がゲームになってる」感覚は、他のRPGでは味わえないものでした。
その後、大人になり、続編の『MOTHER2 ギーグの逆襲』は何度もプレーしました。
コトバを扱う仕事に就きたいと思ったのも、糸井さんの影響があったのは間違いありません。
ちなみに、糸井さんのコピーのなかで私が好きなのは「本読む馬鹿が、私は好きよ。」(PARCO)というもの。
「そうそう、私も同じ気持ち!」と、ひっそり共感しています。
私は、糸井さんのように言葉の裏にあるものを感じ取り、世の中の微妙なニュアンスを言葉にできるようになりたいと、つねづね思っています。
『オトナ語の謎』の内容は?


オトナになるために覚えるべきコトバの数々
ここからは、『オトナ語の謎。』の内容について紹介していきますね。
この本は、もともとは『ほぼ日刊イトイ新聞』のいちコンテンツとして連載されていた内容を、再編集、書籍化したものです。
本編は、大きく6つの章で構成されています。
- 基本用語編
- カタカナ編
- オフィス編
- 交渉編
- シリーズ編
- その他編
ここでいう「オトナ語」というのは、オトナの世界で(暗黙の了解的に)使われているコトバ。
とくにビジネスの場で聞き馴染みのあるコトバが多く集められています。
個人的に笑えたものを、いくつか挙げてみます。
電話応対のテッパンフレーズ
「鈴木は部内に3人おりまして」
電話をかけてきた人が「鈴木さんはいらっしゃいますか?」と言ってきたときに、返す必殺フレーズ。
P166
これ、普通に新人時代に先輩から教わりました(笑)
複数人いる苗字の人相手にかかってきた電話は、こういう風に切り返せと。
上司のほくそ笑む姿が思い浮かぶわ…
「オレは聖徳太子じゃないんだから」
何人もの部下に同時に話しかけられた上司が言いがちな言葉。(中略)しかしながら、そのように言う上司はまんざらでもない表情であるので、さほど反省する必要もないだろう。
P181
こういう上司、いましたよ。
しかもここに書いてある通り、不満感を装いつつ多くの部下に頼られてうれしそうにしてる姿を、まだ「オトナ1年生」だった私は見逃さなかったのです。
相手に気を遣わせないために、ね。
「近くまで来たものですから」
と、言いつつ、近くまで来たから寄ったわけではない。周到に準備し、なんなら少し暇を潰し、タイミングを見計らって来たのである。
P203
営業職をやっていたとき、同行した先輩がしょっちゅう使っていました。
最初は「え、近くまでなんて嘘じゃん」と思っていたのに、いつしか私自身もスラスラ口にするように。
あれは、私が本当のオトナになったということだったのでしょう。
あれもこれも、オトナ語だったらしい
カタカナ系のオトナ語もいろいろあります。
例:「ニアリーイコール」「アグリーする」「プロパー」「マンパワー」
また、オトナ基本用語を覚えておけば、オトナの入り口としては十分かと。
例:「コミコミ」「酒の席での話」「落としどころ」「たたき台」
オトナが行き過ぎて、オヤジ語を使うようにはなりたくないものです。
例:「おいくら万円」「どうなのよ、最近こっちのほうは?」
…書いただけで、気持ち悪い昔の上司の顔が思い浮かびました(笑)
ともかく、こういったコトバで説明するのは難しいオトナ語の数々にもクスッと笑える解説をつけられるのは、「さすが糸井さん」というしかありません。
掲載されているオトナ語は数百個以上。
巻末には索引もついてます。会社で先輩や上司がよく口にするコトバを調べてみれば、つまらない仕事もちょっとは楽しくなるかもしれません。
まとめ:オトナになった人も、そうでない人も。
面白いのは、「オトナ語」が使われるシチュエーションって、だいたい古今東西どこも同じなんだなぁということ。
実は、私がこの本を初めて手にしたのは大学生のときでした。
当時は数ページ読んだだけで笑いが止まらず、その後、就職活動で受けた出版社の採用試験の課題「あなたが好きな本を選び、その書評を書きなさい」で、この本を取り上げたほどです。
なので、オトナ間近のコドモでも、言葉のユーモアが好きな人や糸井さんの世界観が好きな人だったら存分に笑えるかと思います。
ぜひ、みなさんも、えいやっ、とページをめくってお楽しみください。