
フリーランスのデザイナーになってから、知人に「友達価格で作って!」って頼まれることが増えてきた…。
正直、そんな余裕はないし嫌なんだけど、断りにくい。どうしよう…。
そんな悩みを抱えたことはありませんか?



筆者の私は、フリーランスライター/エディターとして10年働いています。これまでに、さまざまな仕事の依頼を請け、ときには「お断り」も経験してきました。
クリエイター系のフリーランスが頭を悩ませがちなのが、「友達価格」で仕事を頼まれることです。
特別なスキルを持つ人に対して、友達であることを理由に、正規価格よりも格安(あるいは無償)で仕事を頼もうとすること。なお、ここでいう「友達」の定義はあいまい。とくに親しくない知人の知人レベルの場合も、しばしばあり。
by やまもも辞典
「ライターやってるんだよね」というと「チラシの文章書いて!」、デザイナーであることを伝えれば「デザインして!」、イラストレーターには「イラスト描いて!」、カメラマンには「写真撮って!」などなど…。
もちろん、仕事として依頼してくれるのは大歓迎です。
でも、友達に限って、お金の話がいつまでも出てこなかったり、「まけてくれるよね?」的なオーラを醸し出されたり…。
雇われの美容師さんなんかでも、知り合いに「今度タダで髪切ってよ!」なんていわれることがあるそうです。
こんな風に言われると、いくら友達でも「いやいや、こっちは生活かけてプロとしてやってるんだよね…」と思ってしまうのが本音。
もし副業だとしても、自分のスキルを武器に稼いでいる以上、正規価格より格安の依頼を請けることにはちょっと抵抗がありますよね。
ですが、友達だからこそ簡単に断るのが難しいのも確か。結局、モヤッとしながら依頼を飲み込んでしまった経験がある人もいるのではないでしょうか。



ただ、個人的な経験から言えるのは、「友達価格の注文・依頼をそのまま請けるのは絶対によくない!」ということです。
そこで今回は、「友達価格」がなぜダメなのかや、「友達価格」で仕事を頼まれたときの上手な断り方を紹介していきます。
- 「友達価格」で依頼されて困っている
- 「友達価格」で仕事をすることのメリット・デメリットは?
- 「友達価格」の上手な断り方を身につけておきたい
このような想いを持っている方に、ぜひ参考にしていただければと思います。
「友達価格」は、なぜいけないのか


安請け合いはお互いを不幸にする
ビジネスをしていると、さまざまな場面で「お願いごと(注文・依頼)」をされます。そのお願いごとを叶えたときに、対価として受け取るのが「報酬(お金)」です。
したがって「友達価格」によって値引き、あるいは無償で仕事を請けるということは、自分が提供するものの価値を下げていることと近いです。
フリーランスや独立して仕事をする人は、自分のスキルそのものが自分の価値につながります。その価値を、みずから下げることはすべきではない、と思うのです。
また、「友達価格」で仕事をやることは、実は依頼する側にもデメリットがあります。
どういうことでしょうか?
それは、仕事を請ける側の心情を考えてみると想像しやすいです。
もし、正規価格よりも少ない報酬しかもらえない場合、なんとか赤字にならないように仕事をすることを考えます。赤字が続けば経営できませんから当然ですよね。
ですので、あまりに格安で仕事を請けることになると、どうしても(無意識にでも)手抜きにつながったり、確かなクオリティの仕事を提供できない可能性が高まります。
そうなれば、依頼側も不満を感じてしまうでしょうし、お互いに不幸です。
値引きありきがクセになると成長が鈍る
独立したてのフリーランスは、「なかなか案件をとれない!」ということから、値引きするしかないと考える人もいるでしょう。
値引きは戦略的にやるならOKですが、深く考えずに行うのはNG。というのも、値引きは自分の成長を鈍らせやすいからです。
この記事を読んでくださっているあなたは、これまでの人生で、誰かに期待されたときに通常以上のパワーが出た経験はありませんか?
人間は不思議なもので、「誰かのために」という気持ちが出てくると頑張れることがあるんですよね。
お金がすべてではない、なんていう言葉もありますが、身ひとつで生計を立てているフリーランスにとって、お金は超重要です。
正規のお金をもらう、むしろ現在の実力以上だと思えるお金をもらうとなったら、「何とか期待に応えなくては!」「満足してもらいたい!」と、必死に努力したくなりますよね。
そういう努力が、結果的に自分の成長にもつながるので、やはりきちんとお金をもらうことは大切です。
「友達価格」の上手な断り方は?【損しないために】


①:仕事にかかる手間や内容を説明する
ここからは、友達価格をうまく断る方法を紹介します。
1つめは、なぜ友達価格を受けたくないのか、仕事にかかる手間をきちんと説明することです。
「友達価格」で依頼してくる相手は、おそらく同業者でも、クリエイターなど「手に職系」の人でもないでしょう。
ですから「ちょっと文章を書くくらい簡単にできるはず」「ちょっとデザインするくらい手間かからないはず」といった感じで、空き時間で簡単にできると勘違いしているケースも多いです。
ですが、どんな案件であっても準備が必要ですし、5分、10分で簡単に終わる仕事なんて普通ありませんね。
また、フリーランスは空き時間にも必死に勉強をすることでスキルを得て、それを今後の仕事に生かしていくものです。本来はその部分も含めた形で、お金をもらっているんですよね。
自分でビジネスをしていない人とコミュニケーションをとる場合、どうしてもこの辺りの感覚のズレが生じやすいのは仕方ないです。
なので、ある程度、こちらの事情や立場をまっすぐに伝えるとよいです。
決して専門的な話をする必要はありませんが、ザックリと「こういう作業に、これくらいの時間がかかるんだよね」とか「簡単な仕事でも、きちんとやるのはこれくらいの時間が必要で…」などと伝えるだけでも、マトモな友達なら察して理解してくれます。
②:価格は下げずに「おまけ」をつける
2つめは、価格は下げない代わりに、なにか「おまけ」をつける方法です。今後も仕事を頼んでくれそうな人に対してだったら、この方法はおすすめ。
「おまけ」の内容はなんでもいいのですが、自分のスキルを活かせつつ、相手に喜ばれそうなものを考えるのがベストです。
たとえば私の場合、もしホームページに載せる文章作成を頼まれたら、価格は下げない代わりに、ついでに簡単な写真撮影もできることを提案したり、依頼されていない別ページの改善点もアドバイスしたり。
「おまけ」部分に相当な時間がかかってしまうものは考えものですが、あえて大きな「おまけ」にするのもアリです。
というのも、「おまけ」をつける→相手が満足する→リピートにつながるという幸せな循環ができる場合もあるからです。
複雑に感じるかもしれませんが、たとえば昔ながらの八百屋さんでも、親しくしている常連さんには「おまけだよ!」なんていって、買ってない野菜や果物をくれることってありますよね。
そうすると、ついまた行きたいなと思ってしまう。あれと似た感覚です。
相手に言われて値引きするのと、自分からおまけするのでは、まったく違いますからね。
③:値引きする分だけ、自分のプラスになる交渉をする
3つめは、値引きを受け入れる代わりに、別のところで自分のプラスになる交渉をすることです。
たとえば、自分のやっている仕事を他の人に宣伝し、紹介してもらうなど。
別の仕事にもつながるような交渉ができそうな相手だったら、この方法を使うのもよいですね。
ただ、その際の値引き額はやみくもに決めるのではなく、自分にとって「ここまでなら許せる」と納得できる金額にすることをオススメします。
ビジネスは、やはりwin-winを目指すべきだと思うのです。フリーランスとしてプロ意識をもつ以上、自分だけが損をしたり、不利な思いをしたりするのはよくありません。
「いつもお世話になっているし、値引きをして、相手への日ごろの感謝を伝えよう」などと思う人もいるかもしれません。
それは、ある意味、きちんとした意図がある値引きですからOKです。自分のスキルで相手に感謝を伝えるというのも、ステキなことだなとは思います。
まとめ:上手な断り方も、フリーランスの必須スキルのひとつ
昔から「NOと言えない日本人」なんていわれますが、実際、断るのが苦手な人は多いかと思います。
ですが、フリーランスになって断れないと、どんどん自分が苦しくなってしまいます。
それに、そもそも「仕事を断る=相手を否定する・拒絶する」ではないのですよね。怖がる必要はありません。
ただ、軽く断ったつもりでも、察してくれずに友達価格をしつこく依頼してくる人もいます。もしくは逆ギレしてくる人とか…。
そういう人と付き合うのは正直キツイのですが、自分の言い方ひとつで、正しく意思を主張しつつ「この人、ちゃんとしてるんだな!」みたいに、むしろプラスの印象を与えることはできます。
ですから、相手に不満を抱いたり過度な期待をしたりする前に、うまく断るスキルを身につけちゃいましょう。
実は私自身、もともと断るのが決して得意ではなかったです。
でも、このままじゃいけないよね、という気持ちはずっとありました。ですので、何度も失敗しつつ本などで学んで、徐々に断る力を身につけてきました。
その過程で気づいたのが、「変にごまかすよりも正直に言ってしまったほうがラクだし、相手にも信用されやすい」ということだったんです。
人によると思いますが、「正直さ」って、仕事の人間関係でもかなり大事なことだと私は実感しています。
以下の本は、断り方のスキルの重要性や、上手に断るための考え方、なぜきちんと断ったほうが信頼されるのかをわかりやすく説明していて非常によかったです。
モヤモヤと感じていたことがスッキリしました。
上手に断っていくには、自分にとってどこまではOKで、どこからはムリなのか。自分自身のスタンスをハッキリさせることも大切ですね。



それが決まっていけば、あとは上手に伝える工夫をするだけ。「友達価格」で悩む日々から解放されていくはずです。
お互いに、前向きな仕事をしていきましょう!