コラム

HSP気質のままフリーランスになって14年。繊細さと働き方のちょうどいい距離感

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こんにちは。
心と働き方のカウンセラー、山﨑ももこです。

突然ですが、私は繊細で敏感な気質をもつ「HSP(Highly Sensitive Person)」です。

学生時代や会社員として働いていた頃は、人の気持ちを察しすぎて勝手に疲れてしまったり、オフィスの電話音や周囲のざわめき、機嫌が悪そうな人の声に、いちいちビクッとしてしまったり…。

「どうして私は、こんなにすぐ疲れるし、細かいことが気になるのか…」

そんなふうに悩み、気分が落ち込むこともたくさんありました。

このまま同じ働き方を続けていたら、心も体も持たない。
そう感じて、逃げ込むようにして選んだのが「フリーランス」という道でした。

それから14年。
決して平坦な道ではありませんでしたが、今こうして働き続けられているのは、HSPという気質を克服したからではありません。

むしろ、その気質と戦うのをやめて、ある程度「自分のためのセンサー」として使えるようになったからだと思っています。

私はいま、HSP気質の方からの「仕事がしんどい」「人間関係で疲れる」といったご相談を受けることも多くあります。

同じように悩む方にとって少しでもヒントになればと思い、私の試行錯誤について、少しお話ししていきたいと思います。

目次

「自由=ラク」ではなかった最初の数年

まだ20代半ばの頃のこと。

会社員生活の後半、私は「とにかくこの環境を変えたい。フリーランスになれば、誰にも気を使わず、ストレスフリーな毎日が待っているはず」と思っていました。

心身の調子も崩して休職経験がある私。
転職もしてみたけれど、会社という場では、もう自分を保てない。

当時は、かなり追い込まれていて、とにかく逃げたかったのが正直な気持ちです。

今もよく「いきなり独立なんて怖くなかったの?」と聞かれることがありますが、私にとっては「組織」というよくわからない大きなものに飲み込まれそうになるほうが、怖かったのです。

(若くて怖いもの知らずだったのもあったかもしれません)

でも実際に独立してみると、待っていたのは「すべてを自分で決めなければならない」という、別の種類の重みでした。

どの仕事を受けるか、断るか。今日は働くか、休むか。
自由だからこそ、その選択の責任はすべて自分に返ってきます。

あまり干渉されずに過ごしたい私にとって、それは快適な面もたくさんありました。

一方、私には、いろんなことが気になる一面があります。

だから、正解のない選択を常に求められる状況は、想像以上にエネルギーを消耗するものでした。

「このメールの返信、失礼じゃなかったかな?」
「来月の仕事が減ったらどうしよう」
「もし長く体調を崩したらどうしよう」

そんな不安が頭の中をぐるぐると駆け巡り、会社にいた頃とはまた違う種類の「疲れ」を感じていたのも、正直なところです。

布団にもぐり込む時間が、私を救ってくれるように

そんな日々の中で、私が無意識のうちに実践し始め、今では欠かせない習慣になっていることがあります。

それは、「情報を完全にシャットダウンする時間」を持つこと。

HSPの人は、音・光・人の感情など、日常のあらゆる刺激をスポンジのように吸収してしまいます。

だから、人と深くお話をした後や、集中して仕事をした後には、どうしてもバッテリー切れのようにぐったりしてしまうんです。

私の場合、高校生や大学生のときから、ちょっと街へ買い物や遊びに出かけると、帰りの電車では肩や後頭部あたりがすごく重たくなってきて、ゲッソリ…。

当時はHSPという言葉も知らなかったですし、楽しかった後になぜそんなに疲れるのかわからず、一人で複雑な気持ちを抱えていました。

ちなみに、その「疲れやすい」特性は、その後も変わっていません。

でも、今の私には「部屋を暗くして布団にもぐる」という回復法があります。

カーテンを閉めて、部屋を薄暗くして、布団の中に入る。
スマホも見ない。音楽もかけない。ただ、静かな暗闇の中で、じっとしている。

1〜2時間、ときには30分でも、そうやって情報をシャットダウンするだけで、体力は回復します。

スーッと気持ちが戻ってくる感覚があるんです。

会社員だった頃は、疲れても「その場で休む」という選択肢がとれませんでした。

でもフリーランスなら、「今日はもう無理しないでおこう」と、自分の状態に合わせて予定を調整できる。

この「疲れたらすぐ休める」環境を自分で持てることが、HSPとして働くうえで、何よりも大きな支えになりました。

「120点」を目指すことを手放してから

もうひとつ、私が長く働き続けるために手放したものがあります。

それは「期待以上に頑張らなきゃ」という思い込みです。

私はもともと、「ちゃんとしなきゃ」「相手をがっかりさせたくない」と思いがちなタイプ。

HSPの方は、相手の期待を敏感に察知してしまう分、つい無理をしてしまうことが多いのではないでしょうか。

かつての私もそうでした。

求められているのが100点だとしても、120点、いや150点を出さなきゃいけない。
そうやって自分をすり減らしながら走り続け、自分にどんどん高いプレッシャーをかけてしまうのです。

ただ、実はそこには良い面もあると思っています。

なにしろ、フリーランスは信用が命。
さらに私はクリエイティブ職を長く続けていましたから、制作するものの「質」も問われます。

自分に厳しくし、高いパフォーマンスを発揮したい。

いつも120点を目指す意識で動いてきたからこそ、クライアントとの間で強固な信頼を築くことができたり、いろんなご縁につながったりした面もあるようにも感じています。

だから、そうやって必死に頑張った時期があったことも悪くなかったと思っています。

でも、今は、もう少し違う視点を持っています。

それは、「プロとしてちゃんとやること」と「必要以上に自分をすり減らして頑張りすぎること」は、実は違うということ。

それに、一時的に張り切ってうまくいってても、それが続かなければ仕事としては不安定なまま。

「短距離走なら無理ができても、人生という長距離走でこれを続けていたら、いつか壊れてしまう」

それ以来、私は意識的に「自分なりのほどよいペース」を探すようになりました。

常に120点を目指すのではなく、一つひとつの仕事に誠実に向き合い、その時のベストを尽くせばそれでいい。

たとえ80点の日があったとしても、大丈夫。

もしミスをしても、ちゃんと誠実に向き合う。
ミスした責任も自分でとる覚悟を決める。

そのような姿勢で過ごしてきた結果、これまで大きなトラブルになることはありませんでした。

そして長く走り続けることのほうが、結果的には信頼や安定感につながるのだと、今は思えるようになりました。

繊細さは、自分を守る「センサー」になる

14年間のフリーランス生活を振り返ると、HSP気質は決してハンディではなく、むしろ「自分らしい働き方を見つけるためのセンサー」だったと感じています。

刺激に敏感だからこそ、「この環境は心地いい」「この人とは安心して話せる」という感覚が、人よりも鋭くわかる。

疲れやすいからこそ、「今日はもう休もう」というサインを、体が早めに教えてくれる。

他人の感情を察知しやすいからこそ、「この仕事は自分の価値観と合わないかも」という違和感にも、すぐ気づける。

それらは、うまく扱えるようになれば、間違いなく「強み」です。

もちろん、今でも完璧ではありません。
つい無理をして反省や後悔をすることもあります。

それでも、「疲れたら布団にもぐればいい」「120点を目指さなくてもいい」「自分のペースで続けていけばいい」。

そんなふうに、少しずつ、少しずつ、自分を許せるようになってきました。

敏感な自分も、疲れやすい自分も、頑張りすぎがちな自分も、どれも否定しない。

そのうえで、「自分がどうすれば無理なく、心地よく働けるか」を真剣に考えて、一つずつ見つけていく。

そうした積み重ねが、誰のマネでもない「私だけの働き方の軸」を育ててくれたのだと思います。

完璧じゃなくても、続けていける

フリーランスという働き方は、HSPの人にとって「向いている・向いていない」と単純に分けられるものではありません。

大切なのは、自分の特性を理解し、それに合ったスタイルを少しずつ見つけていくこと。

そして何より、「HSPの自分を否定せず、理解してあげること」だと思っています。

もしあなたも今、「繊細な自分に、フリーランスなんてやっていけるだろうか」と不安を感じているなら。

あるいは、「今の働き方が、自分には合っていない気がする」と感じているなら。

完璧じゃなくてもいい。120点を目指さなくてもいい。

そんなふうに、自分を許しながら自分のペースで続けていける道を、一緒に探してみませんか。

あなたの繊細さ・敏感さは、きっと「あなただけのセンサー」として、自分らしい働き方を見つける手がかりになってくれるはずです。

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